日本のポジティブリスト制度が本格施行:食品容器チームのための実務ガイド

読了時間:約7分
ポジティブリスト制度 2025:食品容器・包装チームが押さえるべきポイント
ルールを正しく理解し、手戻りを防ぎ、最適な素材を自信をもって選定しましょう。

2025年6月:何が実際に変わったのか(やさしい解説)

2025年6月1日から、合成樹脂を対象とする日本のポジティブリスト制度(PL)は完全施行となりました。

これにより、日本で流通する食品容器などのプラスチック製器具・容器包装は、ポジティブリストに収載された物質のみを、定められた使用条件(温度・時間・食品区分)の範囲で用いる必要があります。つまり、その樹脂を構成するモノマーだけでなく、性能を調整する添加剤・助剤も含めて、すべてポジティブリストの要件に合致していなければなりません。

なぜ重要か:監査や取引先の調査票で求められるのは説明ではなく書類です。販売する最終製品(記事)が、想定する用途に対して適合し、試験で確認されていることを示すエビデンス(リスト参照、適合宣言、移行試験報告など)が求められます。


食品衛生法の容器包装規格基準の対象となる合成樹脂(PP、PETなど)と、適合確認に必要な書類のイメージ。

対象となる材料と必要書類

  • 対象材料:食品に接触する器具・容器包装に用いる合成樹脂(PP、PET/rPET、PS など)です。
  • 必要書類:ポジティブリストの収載参照、適合宣言書(DoC)、実際の使用条件に合わせた移行試験報告書です。
  • 使用条件:温度・時間プロファイルと食品区分(またはシミュラント)がリストの条件に一致している必要があります。条件外の使用は、たとえ物質が収載されていても不適合となります。

食品衛生法の容器包装規格基準への適合を管理するサプライヤー。化学者でなくても安心できる専門的なサポート体制。

供給側がきちんと機能していれば、化学者である必要はありません

いいニュースは、モノマーや移行量の計算をご自身で読み解く必要はありません。資格や実績あるサプライヤーが、必要なコンプライアンス業務をまとめて代行し、その内容を責任をもって対応してくれます。

信頼できるサプライヤーが用意するもの(推測ゼロ):

  • 物質マッピング:ベースポリマー、モノマー、すべての添加剤・助剤を、該当するポジティブリスト収載項目および使用制限に関連づけた一覧表。
  • 適合宣言書(DoC):最終製品(記事)単位で、想定用途(食品種類・時間・温度)と、それを裏づける収載項目/条件を明記。
  • 移行試験報告書:汎用の常温データではなく、実際の使用条件(例:冷蔵販売→短時間の再加熱)に合わせた第三者試験の結果。
  • 変更管理:樹脂や添加剤を切り替える場合は事前通知し、再評価(再試験)計画を提示。
  • トレーサビリティ:監査に即応できるロット管理と記録
  • マネジメントシステム/認証:ISO 9001、ISO 22000/FSSC 22000などの品質・食品安全システム、再生材やマスバランスが関係する場合はISCC PLUSのトレーサビリティ。必要に応じて認定試験機関(例:SGS 等)のレポートを添付。

食品衛生法の容器包装規格基準において避けたいコンプライアンス上の落とし穴。不十分な書類や試験不足を示す警告イメージ。

避けたいコンプライアンス上の落とし穴

  • DoC(適合宣言書)も試験報告もない、あるいは「大丈夫です」の一言だけ。 監査時に必ず問題になります。
  • 基本の樹脂のみが記載された1ページの仕様書のみ、添加剤やエントリーIDの記載がされていない)。
  • 仕様変更後に「来週出荷できます」と言いながら移行試験を行わない。
  • コンテキストなしの証明書(ロゴはあるが、SKUや想定使用条件にひも付くエビデンスが添付されていない)。

結論:整ったコンプライアンスパックを提供してくれるサプライヤーを選びましょう。

一から作り直すよりも速く・安全で・低コストですみます。また、小売業者が書類審査で出荷停止のリスクを避けられます。


食品衛生法の容器包装規格基準に関する、厚生労働省や消費者庁の公式情報ページ。

公式情報(定期的に確認したいページ)

厚生労働省(MHLW|制度運用の基点)

2025年6月1日以降のポジティブリスト制度の公式ページ。**告示・別表(物質リスト)や最新の情報が記載されています。
実際の収載項目(基材ポリマー/モノマー、添加剤とその条件)や最新公表を確認したいときに使います。

👉 厚生労働省(MHLW|制度運用の基点)はこちら

消費者庁ポータル(CAA|案内ページ)

厚労省のリスト、関連通知、サポート資料へのリンクを集約した使いやすい入口ページです。新着(Q&A、行政連絡 など)の有無を確認するのに便利です。

👉 消費者庁ポータル(CAA|案内ページ)はこちら

消費者庁 Q&A(PDF|ガイドライン)

対象範囲(合成樹脂のみ)、多層構造、コーティング、使用条件、必要書類、イレギュラー事例までを詳しく解説する実務的なFAQ。
たとえば「拭き取り型の防曇はPL対象か」「非接触部位の扱いは」など解釈が必要な時にします。

👉 消費者庁 Q&A(PDF|ガイドライン)はこちら


食品衛生法の容器包装規格基準への適合を確認する、発注書(PO)にそのまま貼れるクイックチェックリスト。

発注書(PO)にそのまま貼れるクイックチェックリスト

  • 最終製品ID と図面の改訂版
  • 樹脂の種類とサプライヤー名
  • ポジティブリスト収載項目(ベースポリマー、モノマー、すべての添加剤・助剤
  • 当該SKUの使用条件(食品区分/時間/温度)
  • 適合宣言書(DoC)移行試験報告書(上記使用条件に合致)
  • 表示・マーキングの証明(樹脂識別、使用温度ガイダンス、リサイクル表示)
  • ロットトレーサビリティ計画 と 変更通知 の要件

食品衛生法の容器包装規格基準に対応し、South Plastic(南部化成)が選ばれる理由となる、高度な品質管理と製造体制。

South Plastic(南部化成) が選ばれる理由

私たちは実務に役立つ運用を徹底します。South Plastic(南部化成) は PP/ウルトラクリア PP および PET/rPET のシート/容器仕様をポジティブリスト(PL) に照合して事前確認し、監査で求められる書類一式を整備します。視界を保つための防曇設計の選定をお手伝いし、規則遵守に必要な手続きを簡素化するサポートを提供いたします。また、既存仕様の変更が必要な場合は OEM/ODM による再配合・再評価もサポートします。

書類対応だけではありません。South Plastic(南部化成)は、日本市場で15年以上の実績があり、小売・監査・加工業者の期待値を理解しています。また、当社の工場は ISO 9001/14001/22000、ISO 45001/50001、BRCGS Packaging(Grade A)などの認証済みの品質管理および食品安全システムに基づいて運営し、持続可能な素材供給のため、ISCC PLUS認証を取得しております。必要に応じて認定された試験機関での検証をコーディネートし、変更管理トレーサビリティを備えた製品ごとのコンプライアンスパック日英バイリンガルでご提供します。安定したリードタイムとあわせて、スムーズな立ち上げと審査の通過を実現します。


免責事項:本記事の内容は情報提供を目的としたものです。最新の要件については厚生労働省(MHLW)および消費者庁(CAA)の公式サイトをご確認のうえ、提出する適合資料が貴製品の実際の使用条件(温度・時間・食品区分など)に整合していることを必ずご確認ください。

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