フードパックの基本と2025年の潮流 — 素材・用途・設計トレンドを網羅

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フードパックの基本と2025年の潮流 — 素材・用途・設計トレンドを網羅

食品用フードパックの設計・調達を検討している方に向けて、主要素材(PP、OPS、rPETなど)、代表的なフードパック形状、そして2025年に向けた最新フードパック設計動向を総合的に解説します。


フードパックとは

「フードパック」とは、スーパーやコンビニ、惣菜売場などで寿司・サラダ・フルーツ・デザートなどの食品を詰めて陳列する、軽量かつ透明なプラスチック容器の総称です。フードパックは食品の鮮度維持や衛生管理に優れており、店舗や消費者に多くのメリットを提供します。

一般的には、PP・OPS・rPETなどの樹脂シートを真空成形で加工し、輸送時に重ねやすいようトリミングされた構造です。蓋は本体と一体のヒンジ式か、別体のスナップフィット式が使われます。

透明な蓋により中身の鮮度を視認できるため、消費者は未開封のまま品質を確認可能。小売店にとっても、30×40cmの陳列面積に数百個単位で積み重ねられる点が大きな利点です。


現代のフードパック(食品パック)に求められる6つの基本機能

  • 中身を明確に見せる:高透明なPP・OPS・rPET製の蓋により、購入前に鮮度を視認でき、棚戻しや食品ロスの削減につながります。
  • 商品をしっかり保護する:リブ構造や精密なスナップフィットにより、輸送中や売場での潰れ・液漏れ・交差汚染を防止します。
  • 片手で簡単に開閉できる:指先でつまめる開封タブが、飲み物やスマホを持った状態でも使いやすく、追加包装も不要です。
  • 鮮度と安全性を保つ:樹脂の透明度と通気設計により内側の曇りを防ぎ、未開封を示すブリッジ構造で改ざん防止も可能です。
  • 適正な容量と栄養管理:成形された容器のキャビティがグラム・ミリリットル単位で管理されており、栄養・アレルゲン表示の正確性を確保します。
  • 日本のリサイクル制度に対応:モノマテリアルのPPまたはrPET容器は「プラ」マーク付きでそのまま資源回収に対応し、プラスチック資源循環促進法の目標に寄与します。

フードパックが現代の食習慣にもたらした利便性を示す、栄養バランスの取れた様々な惣菜パック。

フードパックが現代の食習慣をどう変えたか

  • 利便性文化の浸透: 駅売店・高速サービスエリア・24時間営業店でも、バランスの取れた食事を手軽に提供可能にしたのがフードパックです。
  • 都市型衛生対策: 密封蓋とタンパータブにより、紙箱や竹容器が主流だった1990年代以前と比べ、陳列中の食品を空気中の異物から守れるようになりました。
  • 食品ロスの削減: 透明蓋のおかげで、売場スタッフは在庫を先入れ先出ししやすく、消費者も劣化した商品を事前に避けられます。
  • 食事制限対応: 規格化された容器容量は、ダイエット食や病院食など、栄養管理が必要なメニューにも対応します。
  • 素材革新: OPSから透明PP・ボトルグレードrPETへの移行により、見た目の美しさを保ちながら電子レンジ対応と真の再資源化を両立しています。

つまり、優れたフードパックは単なる容器ではなく、店頭ディスプレイ、持ち運べる皿、簡易コールドチェーンとして多機能に使える設計です。さらに使用後は資源ごみとして容易に回収可能な、サステナブルで高度なフードパックです。


様々な用途に使われるフードパック5種の例。カットフルーツ、サラダ、野菜スティックなどが透明な容器に詰められている。

主なフードパック(食品パック)の5タイプと用途別の特徴

ワンピース・ヒンジ型(ヒンジ一体型)

  • 主な形状・素材:一体成形で開閉ヒンジ付き 素材:OPS、rPET、高透明PP
  • 適した用途:カットフルーツ、焼き菓子、惣菜、イベント用軽食
  • 主な特長:片手でワンタッチ開閉でき、蓋と本体が一体型のためSKU管理も簡便です

嵌合フタ+本体型

  • 主な形状・素材:蓋と本体が別パーツ 素材:rPET蓋+PPまたはrPET底部
  • 適した用途:寿司、サラダ、トッピング付き弁当
  • 主な特長:高い蓋で具材を潰さず保護し、リム部の密閉性も高いため液漏れを抑制します。

仕切り付きミールトレー

  • 主な形状・素材:2〜4区画の一体型ベース 素材:PP(電子レンジ用)、CPET(加熱調理対応)
  • 適した用途:コンビニ弁当、機内食・病院食、ミールキット
  • 主な特長:一枚のシールで複数区画を密封でき、±3g精度のポーション管理も可能です。

改ざん防止ヒンジ型

  • 主な形状・素材:ミシン目タブや破断バンド付きヒンジ型 素材:rPET、高透明PP
  • 適した用途:惣菜サラダ、パフェ、機能性スナック
  • 主な特長:セキュリティ機構が成形一体型で収縮バンドが不要な上、破断後は開封痕が残る安心設計です。

ウルトラクリア展示セット

  • 主な形状・素材:平蓋または低ドーム型の蓋+底部 素材:無添加・高透明PPまたはrPET(コーティングなし)
  • 適した用途:高級寿司・刺身、カットフルーツ、彩りデザート、シャルキュトリー
  • 主な特長:ガラスのような透明感で色や質感を引き立て、蓋と本体が同素材のためリサイクル性も高いです。

素材の選び方 — 特長・課題・代表用途の比較

フードパックの性能は素材選定に大きく左右されます。電子レンジ対応性、視認性、そしてリサイクル性の観点から適材を見極めることが重要です。

ポリプロピレン(PP – ⑤)

  • 主な特長:–20~120℃まで加熱可・高透明グレードあり・単一素材で「プラ」分類にて回収可
  • 留意点:厚みがあると若干曇る・PSより剛性が低い
  • 主な用途:レンジ対応弁当、惣菜ボウル、フィルムシールトレー

二軸延伸ポリスチレン(OPS – ⑥)

  • 主な特長:ガラスのような透明感・軽量かつ高剛性
  • 留意点:耐熱上限 約90℃(加熱不可) ・リサイクル困難、焼却処理が一般的
  • 主な用途:ヒンジ一体型容器、透明蓋、デザートカップ

PET / 再生PET(rPET – ①)

  • 主な特長:高い透明度・ボトルtoトレーの再資源化ループあり・適度な剛性
  • 留意点:耐熱上限 約70℃(冷用専用) ・応力割れリスク(嵌合ズレ時)
  • 主な用途:フルーツカップ、サラダボウル、高透明展示容器

結晶化PET(CPET – ①)

  • 主な特長:約200℃までのオーブン対応(電子・熱風兼用)・高剛性
  • 留意点:白色または黒色の不透明素材・CPET専用の再資源化が必要
  • 主な用途:冷凍食品、ベーカリー商品、主菜用トレー

素材選定のポイント:

  • 加熱用途なら? → 軽加熱用途はPP、オーブン対応はCPET
  • 透明感が最優先? → 冷蔵陳列にはOPSやPET/rPETが一般的ですが、透明性とレンジ対応を重視する場合は高透明PPが一押し。
  • リサイクル重視?PPrPETは「プラ」分類でそのまま資源回収可能。

2025年のデザイントレンドを反映したフードパック。透明な蓋と黒い容器が、色鮮やかなサラダの魅力を引き立てている。

2025年の売場を形づくるデザイン・スタイルトレンド

包装は単なる容器ではなく、「無言の販売員」としての役割を持ちます。以下の6つの潮流が、視認性・購入意欲・ブランド価値の向上を後押ししています。

ミニマル透明デザイン

  • パックでの表現:レーザー刻印ロゴ/蓋ラベルなし
  • 売場への効果:中身を主役に演出。上質で控えめなブランド印象に貢献

単一素材の明示

  • パックでの表現:凹モールドで「All PP」「All rPET」を表示
  • 売場への効果:分別しやすく、プラスチック資源循環促進法との整合性も◎

UXを重視した改ざん防止機構

  • パックでの表現:成形一体型の破断タブ・ミシン目構造
  • 売場への効果:未開封を一目で確認可能。追加ラベル・バンドが不要に

幾何構造による視認性向上

  • パックでの表現:排水チャネル付き底部、面取り蓋
  • 売場への効果:表面処理なしでも透明度を維持し、曇りを防止

コントラストカラーの底面

  • パックでの表現:マットブラックCPETやナチュラルPP色
  • 売場への効果:具材の色が映え、小さな結露を目立たなく処理

軽量リブ設計

  • パックでの表現:強度確保型のリブ+薄肉化成形
  • 売場への効果:樹脂使用量を5〜10%削減しつつ、強度を確保

South PlasticのSafety Pack®シリーズ。改ざん防止機能付きの透明な角型容器が、サラダの鮮度と安全性を守っている。

South Plasticのいたずら防止ソリューション — Safety Pack®シリーズ

South Plasticは、用途や製造ラインの仕様に応じて選べる、独自開発のいたずら防止容器を3タイプ展開しています。いずれも「未開封証明」を確実に提示できる構造です。

一体型シール付き容器

  • 開封構造:本体ヒンジ部にミシン目
  • 主な特長:破片が出ず、開封痕が確実に残る・追加フィルム不要でライン簡素化
  • 主な用途:大量生産向け惣菜、パック済みおにぎり

帯付き・収縮包装型

  • 開封構造:外付けバンドまたは収縮スリーブ
  • 主な特長:初期型費が低コスト・各種トレーに対応可能 ・開封痕が明確に残る
  • 主な用途:コンビニ寿司セット、レンジ対応弁当

Safety Pack®(特許取得構造)

  • 開封構造:成形一体の破断タブ+ロック構造
  • 主な特長:開封時に「パキッ」と音が鳴り、明瞭な開封痕が残る・破片なしで衛生的 ・PET単一素材でreSPIre™にも対応
  • 主な用途:高級サラダ、機能性スナック、輸出向け製品

なぜSafety Pack®なのか?

Safety Pack®は、「破片が出ない衛生的設計」「開封証明を残す特許構造」「PET単一素材による高いリサイクル適合性」を兼ね備えたSouth Plastic独自のいたずら防止パッケージです。


フードパック選定フロー(早見表)

以下の4つの質問に答えるだけで、自社製品に最適なフードパックタイプを見つけられます。各選択肢はSouth Plasticの製品ページにリンクしています。

1. 容器を電子レンジまたはオーブンで再加熱しますか?


2. 視認性(中身の見た目の美しさ)が最重要ですか?


3. 改ざん防止機能(未開封証明)が必要ですか?


4. SKUを減らしたい・金型コストを抑えたいですか?


品質と信頼性の象徴であるSPI(South Plastic)の近代的な社屋。

なぜSPI(South Plastic)を選ぶのか?

SPIは、フードパックのOEM・カスタム対応における信頼のパートナー。長年の実績と徹底した品質・サービス体制で、貴社の要件に確実に応えます。


  • 認証取得済の高品質 — ISO 9001・FSSC 22000認証取得。すべての製品が日本の食品衛生法に準拠。
  • 日本市場に特化した開発力 — 法令対応・売場規格・消費者ニーズに合わせた設計・製造。
  • 最先端の金型技術 — ±0.05mm精度の金型、最新の押出・真空成形ライン、自社CAD・DFM設計体制。
  • スピード対応&柔軟性 — 3D試作から量産まで、納期・コスト両面で確かな対応力。
  • サステナビリティ対応 — 単一素材のPP・rPETパックは日本の「プラ」回収に対応し、資源循環法の目標達成を支援。

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