売れる惣菜パッケージのデザインとは?

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売れる惣菜パックのデザインとは?

惣菜売り場で決まる一瞬

現代のはなやかなスーパーマーケットでは、惣菜・デリコーナーは消費者の注意を引きつける重要な戦場のようです。お客さまは冷蔵ショーケースに近づき、色とりどりの弁当や艶やかな寿司を目で追いながら、その中から選びます。それは数分ではなく、まばたきするほどのほんの一瞬で決断が下されます。

包装は単なる容器ではなく、商品と消費者をつなぐ最初の接点であり、購買を左右する力を持っています。

選ばれる理由は料理そのものだけではありません。盛り付けの見え方、容器の形状、透明度、鮮度の印象、そして全体的なビジュアルの魅力が組み合わさり、ほんの一瞬で無意識に判断が下されます。

その瞬間こそが、商品がカゴに入れられるか、それともより魅力的な別の選択肢に取って代わられるかが決まる分かれ道です。

スーパーマーケットのバイヤーや惣菜担当者にとって、フードパックは無言のセールスマンのような存在です。24時間休むことなく、価値・品質・おいしさを伝え続けます。
デザイン性の高い透明容器(透明トレー)は、シンプルな惣菜をより食欲をそそるプレミアムな印象へと引き上げます。一方で、粗末なパッケージは、どんなに丁寧に調理された料理でも、その魅力を半減させてしまいます。


フードパックの視認性と透明感。第一印象を決める重要な要素を示す、様々な透明容器。

視認性と透明感:第一印象を決める要素

クリア素材が持つ力

フードパックにおける最も重要な役割は、中身をしっかりと見せることです。
真に透明な容器は、まるでガラス窓のように遮るものなく内容物を引き立て、料理の鮮やかな色合い、みずみずしい質感、そしてボリューム感をそのまま伝えます。

ウルトラクリアPPの特長

  • 光透過率 92%
  • 電子レンジ対応
  • 優れたリサイクル性

👉 出典:ウルトラクリアPP技術


素材透明性電子レンジ対応リサイクル性
ウルトラクリアPP優れている高い
PET(A-PET)優れている×高い
OPS優れている×中程度
標準PP低い高い

 

👉 出典:素材選定ガイド


色再現性の維持

食品の魅力は、その色味に大きく左右されます。

しかし、スーパーマーケットのLED照明は見た目の色を変化させ、温かみのある料理を淡く見せたり、食欲をそそらない印象を与えることがあります。

高透明かつ無色性の高機能PP素材は、食材本来の色を忠実に再現します。また、ドーム型のフタ構造を採用することで、強い照明をやわらげ、色の歪みを抑える効果があります。


結露対策

温かい湿気を含んだ空気が冷えた容器表面に触れると、曇り(フォギング)が発生します。この現象は新鮮な商品を古く見せ、魅力を損なう原因となります。

防曇(アンチフォグ)技術は水滴の形成を防ぎ、代わりに極めて薄く均一で目に見えない膜を作ることで、クリアな視界を保ち続けます。


形状と容量設計の機能性を示す、きれいに積み重ねられたフードパック。

形状と容量設計:価値と機能を生み出すデザイン

  • ボリューム感の演出:容器の深さと幅は、量の見え方に大きく影響します。深い容器は層を重ねた豊かさを感じさせ、広めのデザインは量の多さを強調します。
  • 仕切り設計:計算された仕切り構造は、味や香りの移りを防ぐだけでなく、見た目の変化を生み出し、バランスの取れた一食としての印象を与えます。
  • 漏れ防止:高精度に設計されたリムやフチ構造が、しっかりとした密封性を実現します。液漏れを防ぎつつ、開けやすさも両立しています。

色とラベリング:ブランドイメージと視認性の両立

「ヒーローウィンドウ」を最大化する

「ヒーローウィンドウ」とは、商品の魅力を最もよく見せる主要な表示面のことです。
基本原則は、このウィンドウをできるだけ大きく、そして透明で遮られない状態に保つことです。

ラベル配置のポイント

  • ラベルはフタの端や底面に配置する
  • 可能な場合は透明または半透明素材を使用する
  • 法令表示用のスペースをあらかじめ確保する
  • 中身が見えるカットアウト付きラベルを検討する

黒の容器(フードパック)が、彩り豊かなサラダの鮮やかさを引き立てる高コントラスト効果。

黒の容器

彩り豊かなサラダやデザートを際立たせる高コントラスト効果を生み出し、食材の鮮やかさを引き立てます。

透明容器(フードパック)が持つ、清潔感と新鮮さを伝えるデザイン。

透明容器

寿司やヘルシーメニューに最適な清潔感と新鮮さを演出し、純粋さとシンプルさを伝えます。

アクセントカラー(黒)を活用したフードパック。容器の色が中の食材の彩りを引き立てる。

アクセントカラーの活用

食材本来の魅力を損なわず、さりげなく引き立てる色使いで、上品な印象を与えます。


蒸気と結露を防ぎ、鮮度と透明感を守るフードパックの高度なソリューション(防曇技術)。
防曇(アンチフォグ)技術の比較。左:従来品、右:防曇対応品。

蒸気と結露:鮮度と透明感を守る高度なソリューション

防曇(アンチフォグ)技術

温かい惣菜を冷蔵ショーケースで陳列する場合、防曇技術は欠かせません。

特殊な界面活性剤が表面張力を低減させ、水滴の発生を防ぐことで、曇りのないクリアな視界を維持します。

仕組み

水滴となってくもりを生む代わりに、極めて薄く透明な膜として表面に広がることで、内容物の視認性を妨げません。

👉 出典:防曇技術ガイド


フードパックのS・M・Lサイズ展開。容量と価格レンジを連動させた戦略的SKU設計の視覚例。

容量 × 価格レンジ:利益を生む戦略的SKU設計

S・M・LサイズのSKU展開

小・中・大のサイズをそろえるシリーズ化することで、異なるニーズや価格帯に対応できます。これにより、個人客からファミリー層まで幅広く購買を促進することが可能になります。

S(スモール容器)

S(スモール容器)

副菜、デザート、個包装の小分けメニューに最適。

M(ミディアム容器)

M(ミディウム容器)

ランチボックス、サラダ、サンドイッチなど、一人分の食事に適しています。

L(ラージ容器)

L(ラージ容器)

ファミリー向けの惣菜、パーティー用盛合せ、複数人分の料理に最適です。


ネスティング・スタッキング設計

重ねて収納可能な容器デザインは、保管スペースを最大で70〜80%節約でき、バックルームのコスト削減と在庫管理効率の向上につながります。

主なメリット

  • 保管スペースの節約
  • 輸送効率の向上
  • 在庫整理の容易化
  • 倉庫コストの削減

ユニバーサルリッドシステム

複数サイズの容器に共通で使えるユニバーサルリッド(共通フタ)設計は、SKUの複雑さを軽減し、在庫管理を効率化するとともに、シリーズ化で統一感のあるブランド表現を実現することができます。

運用面でのメリット

  • 管理すべきSKU数の削減
  • 在庫切れリスクの低減
  • 発注プロセスの簡素化
  • 一貫化したブランドイメージ

👉 出典:Container Efficiency Study


食品包装(orパッケージ)仕様のリファレンスチェック(クイックリファレンス)

素材と透明性

  • 最高の透明度と電子レンジ対応を両立するウルトラクリアPPを選定する
  • 光透過率92%以上を確保する
  • 店舗のLED照明下で色の再現性を確認する

形状と容量コントロール

  • 見た目の価値を高める形状を採用する
  • 仕切り構造で味や香りの移りを防ぐ
  • 漏れを防ぐ密封性の高いリム設計を確保する

ラベリングとブランディング

  • 見栄えを最大化する「ヒーローウィンドウ」を確保する
  • 視界を遮らない位置にラベルを配置する
  • 法令表示や管理コードの専用スペースを設ける

結露対策と保存性

  • 冷蔵陳列用に防曇(アンチフォグ)技術を導入する
  • 蒸気の逃げ道のためのマイクロベント(通気孔)を検討する
  • 水分管理と鮮度保持のバランスを取る

SKUと運用効率

  • S/M/Lサイズの容器をシリーズ化展開をする
  • ネスティングやスタッキング可能なデザインを採用する
  • 共通のフタシステムを導入してSKUを統合する

事例紹介:防曇技術がもたらした効果

課題

課題

高級寿司の販売が伸び悩み。原因は、平型フタの容器が曇りやすく、中身の品質や鮮度が見えにくかったこと。

解決策

解決策

防曇コーティングを施したドーム型ウルトラクリアPP容器を採用。視認性を大幅に向上させ、より広いウィンドウエリアを確保。

結果

結果

導入初月で売上が30%増加。食品廃棄率は約半減し、消費者の信頼度も大きく回復した。


導入前:曇ったフタが高級感を損なう

  • 結露により寿司の色味や盛り付けが見えなくなる
  • 中身の見えない高価格商品に対して購入をためらってしまう
  • 見た目のダメージによる売れ残り・食品ロスの増加
  • 惣菜売り場全体の印象が低下

導入後:クリアドームで魅力を最大化

  • 魚の鮮やかな色合いやシャリの質感がはっきり見える
  • 高級感が増し、価格設定にも納得感を与える
  • 見た目の良さで購買意欲を喚起させる
  • 食品廃棄の大幅削減と利益率の向上につながる

フードパックのOEM/ODMカスタム対応を支える製造現場。パートナーシップの基盤となる技術力を示す。

カスタムOEM/ODMソリューションのためのパートナーシップ

本ガイドで紹介した設計原則は、「売れるフードパッケージ」を実現するための指針となります。
しかし、小売各社のニーズはそれぞれ異なり、最も効果的なソリューションは、商品特性・ブランド戦略・運用条件に合わせてカスタム設計されるケースがほとんどです。

優れたOEM/ODMチームは、貴社の販売戦略や商品演出の目標を的確に理解し、それをブランド価値を高め、収益性を最大化する高機能パッケージとして具現化します。

素材選定や金型設計から、防曇コーティングやマイクロベント(通気孔)といった高度な機能まで、経験豊富なチームは、貴社の構想を形にするための専門知識と製造技術を提供します。


フードパックの進化を支える、South Plastic(南部化成)のOEM/ODM製造現場。

貴社のフードパッケージを進化させませんか?

South Plastic(南部化成)は、包装が売上とブランドイメージに果たす重要な役割を深く理解しています。日本市場での長年の経験をもとに、私たちは高品質で革新的な食品包装ソリューションを提供しています。

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ウルトラクリアPPの専門技術

ガラスのような透明感と電子レンジ対応を両立

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OEM/ODM対応力

デザインから製造まで一貫したカスタムソリューション

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日本市場への深い理解

小売・惣菜業界での数十年にわたる供給実績

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