はじめに – なぜrPETが今、日本で重要なのか
近年、日本ではプラスチック資源循環や脱炭素への取り組みが急速に進んでいます。その中でも、再生PET(rPET)は最も注目される素材の一つです。政府と業界は、2030年までに使用済みPETボトルの有効利用100%およびボトルtoボトル比率50%の達成という目標を掲げています。
これらの目標は高いハードルのように見えるかもしれませんが、すでに大手飲料メーカーの中には、100% rPETを採用し、CO₂排出量を従来比で約47%削減している事例もあります。
rPETの採用は、もはや単なる環境意識ではなく、企業のサステナビリティ戦略や法令対応に不可欠な実務上の選択肢です。日本ではPETボトルの収集率が約90%、マテリアルリサイクル率が約84%に達しており、これが循環型経済の実現に向けた大きな優位性となっています。
このような状況下、rPET容器はもはや「選択肢」ではなく、どのようにスムーズかつ効果的に導入するかが企業の競争力を左右する鍵となっています。
- 2030年:PET有効利用100%
- 100% rPET導入でCO₂▲47%
- 回収率90%・リサイクル率84%
SouthPlasticでは、日本市場の法制度、市場データ、サプライチェーンの動きを丁寧に調査しました。本記事では、そうした背景を踏まえた上で、reSPIre™シリーズが持つ透明性、安全性、法規制適合性などの強みをご紹介します。
また、食品業界におけるrPET容器の具体的な活用事例も掲載しています。日本市場でサステナブルな包装材を検討している皆様の参考となれば幸いです。
Table of Contents
法制度の展開
日本では近年、プラスチック循環に関する法制度が相次いで整備され、企業には環境配慮設計(エコデザイン)やリサイクル対応が求められています。
2022年「プラスチック資源循環促進法」施行
- 2025年:全製品リユース設計
- 2030年:ワンウェイ▲25%
2022年「プラスチック資源循環促進法」施行: 2022年4月、「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。同法は製品設計から廃棄までプラスチックのライフサイクル全体を対象に、3R+Renewable(リデュース・リユース・リサイクル+再生可能資源)を促進する包括的な法律です。
具体的には、事業者に対し製品の環境配慮設計(リユース・リサイクル可能なデザイン)を指針として示し、使い捨てプラスチックの削減や分別・回収の徹底を求めています。この法律により、食品メーカーや小売業もプラスチック容器包装の削減・再資源化計画を公表・実施する責務を負うようになりました。特に日本政府のプラスチック資源循環戦略(2019)では、「2025年までに全てのプラスチック製品をリユース・リサイクル可能な設計にする」ことや「2030年までにワンウェイプラスチック25%排出抑制、容器包装の60%リユース・リサイクル化」などが掲げられています。
2035年には「使用済プラスチックを100%有効利用する(廃棄物ゼロ)」という目標も示され、循環型社会へのロードマップが明確化されています。
2025年 新たなPETボトル設計基準案
- 2025年施行の新エコ基準
- 無着色PET+再生材15%
- PVCフリー・分離設
上記の方針を踏まえ、経済産業省(METI)はPETボトル・容器を対象とするエコデザイン認証基準案を策定し、2025年の施行を予定しています。
飲料用PETボトルの設計基準案(2025年3月公表、PETボトルリサイクル推進協議会の2025年6月ニュースレターでも再掲)では、ボトル本体を無着色PETとし、リサイクルを阻害する添加物を使用しないこと、ハンドルは無色PETまたは比重1.0未満の低密度PE/PPとすること、そしてボトル表面の印刷を最小限に抑えることが求められています。
さらに、この基準 PDF で確認可)では、ボトル重量の少なくとも15%を再生材またはバイオプラスチック由来成分とすることが義務付けられています。ラベルはPVCフリーでリサイクル時に容易に分離できる設計とし、キャップも主成分をPEまたはPPとしPVCを使用しません。化粧品や洗剤のボトルでも、同様の要件(リサイクル材の最低含有率を含む)が提案されています。
パブリックコメント手続きを経て近く正式化される見込みで、この基準により日本はPETボトルへのリサイクル材含有を義務付ける世界でも先進的な国の一つとなります。企業は2025年までに、自社のPETパッケージ設計とrPET(再生PET)調達が本基準を満たすよう準備を進める必要があります。
食品接触材料に関する追加規制と期限
2020年に導入された食品衛生法のポジティブリスト制度は、食品用容器包装に使用できる添加物やモノマーを厳格に限定しており、2025年6月に完全施行されます。とくに再生プラスチックについては、安全性を保証することが必須です。
FCM(Food Contact Material)適合のため、企業は自社の再生PETがポジティブリスト収載物質のみで構成されていること、さらに総移行量・特定移行量試験などの食品安全試験に合格していることを確認しなければなりません。
加えて、容器包装リサイクル法のもと、政府はリサイクル識別表示の明確化や自治体と連携した回収体制の強化も進めています。
日本の規制は「設計段階からリサイクルしやすくし、使用後に確実に回収・再利用する」ことを企業に求めており、rPETの活用がその中心に据えられています。

SouthPlastic(南部化成)reSPIre™ rPETシリーズ – 安定した調達体制と高性能・認証
日本における再生プラスチック関連の法規制が進展する中、包装サプライヤーには、これらの規制を遵守するだけでなく、日本の食品メーカーや小売業者の高い品質要求にも応えられる製品の提供が求められています。
台湾を拠点とするSouthPlastic(南部化成)は、グローバルかつ厳格に管理されたサプライチェーンを通じて、日本市場の厳しい法規制や品質基準を満たす高品質な食品用再生PET(rPET)素材を安定的に調達しています。そのため、reSPIre™シリーズは常に安定した供給と高いパフォーマンスを実現し、貴社のサステナビリティ目標を妥協なくサポートします。
認証取得済みの高PCR含有率と持続可能な調達
SouthPlasticのreSPIre™製品ラインは、最大100%のポストコンシューマー再生PET(PCR PET)を使用し、トレーサビリティと再生材含有率の証明をSCS Global Servicesの認証により確実に保証しています。10%、25%、30%、50%、70%、100%といった複数のPCR含有率認証を取得しており、企業のESG目標に合わせたリサイクル含有量の指定が可能です。
食品安全・法令遵守の徹底
食品包装において安全性は最重要課題です。SouthPlasticはISO 22000やBRC IoPなど国際基準を遵守し、SGSによる第三者検証も実施。reSPIre™の素材は日本の食品衛生法に基づく厳格な溶出試験や官能試験をクリアし、食品接触材料ポジティブリスト制度にも適合しています。重金属や有害物質に関する検査データも提供可能で、環境対応だけでなく食品安全の両面で安心して採用いただける製品です。
優れたパフォーマンス:高透明度・防曇・耐久性
再生プラスチックへの懸念で多い「透明度低下」や「曇り」を、SouthPlastic独自の精製技術と添加剤調整により解消。reSPIre™容器はバージンPETに匹敵するクリスタルクリアな透明性を誇ります。防曇加工により冷蔵陳列時の曇りを抑制し、商品の鮮度と魅力を引き立てます。さらに独自のリブ設計や肉厚コントロールにより輸送中の積み重ね強度や密閉性も確保。いたずら防止容器や密閉技術に関する特許も保有し、必要に応じてreSPIre™素材との組み合わせで高機能なパッケージングを提供可能です。
豊富な実績と多様な製品ラインナップ
SouthPlasticのreSPIre™シリーズは、世界中の大手小売業者やフードサービス企業に採用されており、日本でも着実にシェアを拡大中。寿司容器、フルーツカップ、チルド惣菜容器など、用途に合わせて多彩な製品を揃えています。お客様からは、リサイクル対応であることを明示したことでエシカル消費訴求につながった、品質が高くブランド価値を損なわないといった評価をいただいています。製品カタログや導入事例も充実しており、用途別の最適な容器選定を支援します。
日本市場における活用事例 – 寿司容器・フルーツカップ・チルド食品容器
日本の小売・惣菜業界で実際に使われている再生PET(rPET)容器の代表的なユースケースをご紹介します。ここでは、寿司容器、フルーツカップ、チルド食品容器の3つの用途に焦点を当て、採用のメリットと注意点を解説します。
寿司容器
スーパーや持ち帰り寿司チェーンでは、従来は黒色のポリスチレン(PS)トレイに二軸延伸ポリスチレン(透明OPS)蓋を組み合わせたパッケージが一般的でしたが、近年では蓋部分にrPETを採用する動きが進んでいます。SouthPlasticのreSPIre™寿司容器は、最大100%の再生PETを使用しながらも高い透明度を維持し、鮮度の良い寿司の見た目を損ないません。防曇加工により冷蔵陳列時の曇りを防ぎ、商品の鮮度感を保ちます。トレイ本体は曲面のコーナー設計で強度を高め、割れや欠けを防止しています。
消費者は使用後、パッケージ全体を資源ごみとしてリサイクルに出せ、店舗側も廃棄コストの削減につなげています。
なお、寿司容器は酢飯の酸性や醤油の塩分により長期保存に適さず使い捨て前提ですが、この点は従来品と変わらず、rPET化による使い勝手の変化はありません。環境配慮を示すラベル表示により、エシカル消費志向の顧客から支持を得る事例が増えています。
フルーツカップ・サラダ容器
コンビニエンスストアや青果売場で販売されるカットフルーツ用カップやサラダボウルにもrPET容器が適しています。PETの高透明度が鮮やかな色彩を引き立て、軽量なため持ち運びにも便利です。SouthPlasticのクリアカップ製品は、側面にリブを設けることで薄肉ながら十分な強度を確保し、陳列中の軽い衝撃による割れを防止します。
これらの容器は冷蔵専用で、賞味期限内に消費され使用後はリサイクルされます。ドレッシングなど油脂分のある食品に長時間触れるとPET表面がわずかに白化する場合がありますが、実用上の問題はほとんどありません。
また、rPETが飲料用ペットボトル由来のため、既存のペットボトル回収インフラを活用したリサイクルが可能で、終端処理の面でも利便性があります。導入企業からは「PP製容器よりも軽量化でき輸送効率が向上した」「高い透明度で商品価値が向上した」といった評価を得ています。生鮮食品での加熱調理がないため、rPETの性能を最大限活用できる分野です。
チルド惣菜容器
冷製パスタやサラダ、デザートなど電子レンジ加熱を想定しないチルド惣菜にはrPET容器が適しています。例えば冷やしパスタ用の丸容器やドレッシング別添のサラダ容器は温度耐性が最小限で済むため、rPETへの切り替えが問題なく進んでいます。
ラベルやシールを剥がせばそのままリサイクルに回せるため、プラスチック資源循環促進法のリサイクル要件にも適合します。こうしたリサイクル対応容器の採用は企業の環境配慮として評価され、自治体や流通からも高評価を受けています。
ただし、PET樹脂の耐熱温度は60~70℃程度でレンジ加熱には不向きです。レンジ加熱が必要な惣菜には、耐熱PPや結晶化PET(CPET)などの耐熱素材への切り替えが必要です。SouthPlasticはウルトラクリアPPシリーズも展開しており、PET並みの透明度を維持しつつ、耐熱やホット充填、電子レンジ加熱が可能な容器を提供しています。rPET容器とPP容器を用途に応じて使い分けることで、すべての食品包装でサステナブルかつ高機能なパッケージングを実現できます。
rPETパッケージには、なぜSouthPlasticを選ぶべきか?
日本の食品・物流分野において、再生PET(rPET)包装の導入が急速に拡大する中、信頼できるパートナーの選定は極めて重要でございます。SouthPlastic(SPI)は、法令遵守、製品品質、安定供給、そして持続可能性を兼ね備えた実績豊富なソリューションを提供し、お客様の事業成長と環境対応を力強く支援いたします。以下に、意思決定者の皆様にご留意いただきたいポイントをまとめました。
- 法令遵守を確実に実現
2025年に施行されるPET容器のエコデザイン基準やプラスチック資源循環促進法に基づき、リサイクル材を一定以上含有しリサイクルが容易な設計への対応が求められております。SouthPlasticのreSPIre™シリーズはこれらの基準を上回る設計を採用し、認証済みのリサイクル材使用及び食品接触材料に関するポジティブリスト規制への適合を実現しております。これにより、お客様のコンプライアンスリスクを軽減し、円滑な製品承認プロセスをサポートいたします。
- サステナビリティ目標の達成を支援
ESGへの注目が高まる中、2030年までのバージンプラスチック削減目標への対応が急務となっております。reSPIre™シリーズはSCSグローバル認証を取得しており、正確なPCR含有率の実績報告が可能です。これにより、環境配慮型のブランド価値向上と市場競争力の強化を実現いたします。
- 品質とブランド価値の維持・向上
パッケージ品質は消費者の購買意欲に直結する重要な要素でございます。SouthPlasticのreSPIre™容器は、バージン材同等の透明度、防曇機能、耐久性を有し、高品質かつ環境配慮を示す包装としてご評価いただいております。さらに、印刷適性やシール性能の事前検証を実施し、お客様のブランド価値保持と生産効率向上に貢献いたします。
- 安定供給体制と品質の一貫性
国内rPET供給能力は拡大傾向にあるものの、需要増加に伴う供給逼迫リスクも考慮が必要です。SouthPlasticとのパートナーシップにより、安定したグローバル供給網とロットトレースを活用した品質管理体制をご提供いたします。お客様のニーズに合わせた長期契約により、価格・供給の安定化を図れます。
- 用途に応じた最適素材のご提案
包装用途は多様化しており、一律の素材選択は最適解ではございません。SouthPlasticでは、冷蔵・常温製品向けrPETに加え、電子レンジ対応が必要な製品にはウルトラクリアPPを提案し、多素材展開による最適化をサポートいたします。ワンストップでの調達が可能なため、効率的な包装戦略をご実現いただけます。
- 循環型社会を意識したリサイクル後の情報発信
消費者や規制機関からは廃棄後の処理やリサイクル対応の透明性が求められております。SouthPlasticは、再生材含有率の明示や業界回収プログラムへの参画を推奨し、企業様の環境責任を明確に伝える施策を支援いたします。これにより、グリーン購入法など各種環境調達基準への適合も促進いたします。
SouthPlasticのreSPIre™シリーズで
サステナブル包装の未来へ
持続可能な包装素材への切り替えは、企業の成長戦略において不可欠な要素となっております。SouthPlasticのreSPIre™シリーズは、高品質で透明度の高い食品安全基準適合rPET製品を提供し、法規制対応と消費者の環境志向ニーズに的確に応えます。
詳細な製品仕様や導入事例は弊社ウェブサイトにてご覧いただけます。技術的なご質問、サンプルのご依頼、お見積もりのご相談などは、どうぞお気軽に弊社営業担当までお問い合わせください。お客様の包装サプライチェーンへのスムーズな導入と、持続可能なビジネス推進を全力でサポートいたします。